04


「爆豪、ちょっといいか」

脳の検査に異常なく、問題なく会話もできているし記憶もはっきりしているとなれば勝己は早々に帰宅を許された。あの後、リサはもう少し話を聞かせてほしいと言った塚内に連れて行かれたが、勝己の方は呼ばれることはなかった。代わりに勝己を呼んだのは相澤の方で、リサの個性の検証を止めるつもりがない勝己に今回のような無茶をしないようにと釘を差された。
ニヤニヤ笑いながら囃し立てる母に苛々しながら帰宅した翌日の今日、いつも通り登校した勝己は教室に入るなりクラスメイト達に囲まれた。額にこさえたガーゼのせいだ。説明など絶対してたまるかと無言を貫いて――実際には「散れやモブ共が!!」と怒鳴り付けて――午前中の授業を終えたところである。いつものメンバーである切島、上鳴、瀬呂に学食に誘われて立ち上がったところで担任の相澤が勝己に声をかけてきた。
要件にすぐに思い至った勝己は無言のまま相澤の元へ向かう。

「爆豪! 先に学食行ってっからな!」
「勝手にしろや」

教室を出て相澤と共に廊下を進む。

「どこ行くんだよ、先生」
「職員室」

無言のまま廊下を進み、辿り着いた職員室に入っていく相澤に続いて中へと足を踏み入れる。相澤の隣の席のオールマイトがにこにこ笑顔で迎えてくれた。

「やぁ、爆豪少年。大変だったみたいだね」
「オールマイト」
「驚いたよ。まぁでも、ともかく無事で良かった」
「分かってると思うが昨日の話だ」

思った通りだ。勝己は無言のまま相澤の続きを待った。

「あの後、緊急で職員会議が開かれた。なにせあの個性だ。お前一人の手で負えるものでないことは分かってるだろう」
「あのなァ、先生。昨日も言ったが俺は――」
「分かってる」

勝己を遮って相澤が言う。噤んだ口をひん曲げて勝己は相澤を見た。

「あの後、彼女は警察で事情聴取を受けた――が、これが話にならなかったと聞いている」
「あ?」
「怯えてほとんど口を開かなかったそうだ」

寄越された報告に勝己は思わず舌打ちをした。またビビってやがんのかあの馬鹿女は。勝己に怒鳴られて怯えるのはまだ分かる。だが、警察の事情聴取で怒鳴られることなどないだろうから、昨日のそれはただ単にあの女が臆病過ぎたせいだ。

「俺もそうだが、お前とあの子が話してたのを塚内さんも見てるからな。お前がいないだけでこんなに変わってしまうのかと驚いていたよ」
「ハッ、俺ン時だってビビって泣き喚いてたわ」
「喚くだけマシだってことだ」
「……俺に何の用すか」

つまり何が言いたいのか。事情聴取に参加しろとでも言うのだろうか、めんどくせェ。嫌だと思う気持ちが顔に出ていたのだろう。勝己をじとりと見た相澤は、溜息と共に口を開く。

「ここに転校させることになった」
「……、……はあああぁぁ!?」

勝己の大声が職員室内に響き渡った。




時計を見れば十時まであと数分。今日も十時に呼ぶようにと伝えているから、あの馬鹿女は律儀に十時きっかりに個性を発動するのだろう。
二日目の夜、必死に念じたおかげで時間きっかりに呼ぶことができたのだと言っていたリサは、学校が始まってからも検証を続けると宣言した勝己の指示通り毎晩個性を発動している。

「多分なんだけど……少しずつ、発動させやすくなってるような、なってないような……」
「どっちだ」
「なって、る……たぶん」
「どんだけ自信ねぇんだよお前」

呆れを存分に乗せた声に、情けなく顔を歪ませながらリサが「んむむ」と唸る。かごの中にボールが一つ降ってきた。
相澤からリサを雄英高校に転校させることが決まったと聞いてから三日、毎晩検証のための夢渡りが続いている。おかげでほんの少しずつではあるがリサが勝己に慣れてきたように思う。同級生だというのにびくびく怯えて敬語を使うリサに「いい加減やめろや!! タメだろうが!!」と怒鳴り付けたおかげかもしれない。

「で、ちゃんと今日の分のメニューはやったんだろうなァ?」
「やったよ! …………あの、でも、その……メニュー減らしませんか」
「はあああ? てめェはウチに転校してくんだろうが。しかもヒーロー科だぞ。ただでさえ転入なんて目立つってのに、それがてめェみてぇな貧弱で臆病な奴だったらどうなると思っとんだ」
「うぅ……だから転校しなくていいって言ったのに……」

嘆きながらまたもや「んむむ」とリサが唸ると、降ってきたボールはかごの縁に当たってかごの外へ転がっていった。

「集中しろや!」
「ごめんなさいっ」

必死の形相で念じるリサを見て、かごの中にボールが降ってくるのを見て。勝己はストレッチを始めた。

雄英高校ヒーロー科に転入させることが決まったと相澤から聞かされた月曜の夜、約束はしていなかったがリサに呼び出された。きっかり十時だった。もしかしたら呼ばれるかもしれないと考え、それまでにその日のルーティンを終わらせてベッドに入ったので良かったが、取り敢えず約束なしに呼び出したリサには拳骨を食らわせておいた。泣かれたが無視した。
リサの方も雄英高校ヒーロー科への転校について連絡を受けていたようで、泣きながら「無理ですぜったい無理ですううぅぅ!!」と訴えてきた。その意見には勝己も賛成だったが、仕方ないのである。

「大体、てめェが警察の事情聴取でなんも言えねェのが原因だろうが」
「うぅ……は、話そうとはした、けど、でも……」

警察に事情聴取をされた経験などないし、そもそも人との接触だって必要最低限にして生きてきたのだ。いくら塚内が人当たりの良い笑みを浮かべて問いかけてきたからといって、笑顔で返事をできるほど器用ではない。筋金入りの人見知りで臆病者なのだ自分は――要約するとそんなようなことを訴えてきたリサへの勝己の返事はただ一つ「クソが」である。

勝己がリサを助けると宣言し、リサはそれを受け入れた。個性の検証は勝己と共に行うことになる。それならば勝己から報告を受ければ良い――相澤もそう考えていたのだ、最初は。
桜井リサについて調査した塚内からの報告によれば、彼女の両親は仕事のため海外におり、たった一人日本に残って生活しているのだという。学校は通っており欠席はほとんどないとのことだが、一人暮らしのため体調不良で欠席したとしても看病する者もいない。そもそも本当に体調不良による欠席なのかは彼女にしか分からない――そう聞いた勝己は「あの臆病女がそんな嘘をつけるようなタマかよ」と思ったが、勝己自身も知り合ってたった三日。説得力はなかった。
万が一、リサの個性のことが敵に知られてしまったら――雄英高校の教職員や警察が案じたのはそれだ。彼女の通う学校に毎日登校しているかの確認をするのは合理的ではない。あちらの学校の方だって、どうして夢を共有するだけの個性しかない彼女を警察や雄英高校が気にするのかと疑問に思うはずだ。

「警察との関係性を上手く作れてない、敵に攫われたかどうか確認するのも一苦労――まァこうなるわな」
「うぅぅ……」

雄英高校に転校してくれれば、万が一彼女が敵に個性を知られて誘拐されてしまったとしても格段に早く対応することができる。天下の雄英高校ヒーロー科への編入に反感を持つ者も確実に出てくるだろうが、天秤にかけるまでもない。桜井リサを敵に渡さないことが最重要である。

「私、敵にはならないよ……」
「ハッ、どーだか」
「ひ、ひどい!」
「俺が敵だったとして、お前に個性使えって脅しても最後まで拒絶できンのかよ」
「すみませんでした」

いっそ清々しいほどに即答であった。

そういった諸々の理由から、リサが雄英高校ヒーロー科に編入することは確定事項だ。次に出てくる問題は彼女の身体能力である。もともと運動が得意ではないと言っていた通り、リサの運動能力はとんでもなく低い。これなら中学生の方が断然マシと言い切れるレベルである。
そもそも、慢性的な睡眠不足というだけで体力など無いに等しいのだ。来週から編入することが決まってしまっている現在、個性の検証と同時に彼女の体力トレーニングを急ピッチで進める以外の選択肢は存在しない。
夢渡り中、年度初めに行われるスポーツテストの結果を見た――こんなに酷いのは見たことがないと勝己は怒鳴った――勝己はそれをぐしゃりと握り潰し、トレーニングメニューを突きつけたという次第である。
ついでに今は、定められた場所に置いたかごに、正確にボールを落とす訓練中だ。望んだ物体を現す場所はある程度はリサが調整できるようで、調べたところ二十メートル以内の好きな所に現すことが可能だった。正確な場所にボールを落とすことができれば、戦いの幅はぐんと広がる。どうせいくら頑張ったってリサの運動能力が勝己と同じにはならないことは分かりきっているのだ。最低限、自分の身を守れる術を手に入れさせることが最優先と判断したし、相澤もそれで良いと言っていた。

起きている間にトレーニングをさせて、夢渡り中には個性の訓練。受けた傷が現実の体に反映されるように、蓄積した疲労も現実の体に反映されているようだと気付いたのは今朝のことだった。
夢渡りの中で一時間ほどランニングを続けてみたところ、目が覚めた時にどっと疲労感が勝己を襲った。ちなみに疲労は蓄積されるが、夢渡りの中でのトレーニング効果が現実に現れるかは分からないままである。だから夢のなかで行うのはリサの個性の訓練だけで、勝己の方はストレッチに留めている。

「あと何個だ?」
「あと三個で……っ、三十、です!」

息も絶え絶え、疲労困憊といった様子でボールをかごに落としているリサを見遣り、そろそろ終わりかと立ち上がる。

「これで、終わり……っ」

そうして現れたボールは、はかごの縁に弾かれてグラウンドに転がった。

「最後くらいきっちり入れろや!」
「はいいぃぃ……っ! ら、らすと……っ」

ダメ押しで現したボールがかごに入ったのを見届けて、リサの体が崩れ落ちる。咄嗟に体を抱えたところで勝己は夢から覚めた。ベッドから出て机へ向かうと、広げたままのノートに『30』と書き込む。リサがかごに入れたボールの数である。ちなみに失敗の欄には『8』と書き込んだ。
個性の訓練は根気と努力を要する――つまり、一朝一夕で上達するものではない。
個性が上達するのが先か、運動能力が向上するのが先か――勝己は溜息をついてベッドへと戻っていった。




そうして迎えた月曜日。いつもと同じ時間の電車に乗って雄英高校の最寄り駅までやって来た勝己は、大きな欠伸をしながら改札を出た。エスカレーターを使わず階段を下りていると、階段の先、柱の陰に挙動不審な人物を見つける。自分と同じ雄英高校の制服を着た女子で、肩より少し伸びた髪を下の方で一つに結っている。服装こそ違うが、何度も見た後ろ姿である。
柱の陰に隠れ、なかなか学校へ向かって歩き出そうとしないその後ろ姿に「あの根性なしが」と毒づく。

「てめェ、何しとんだ」
「っ、ぁ……ばくご、くん……お、おはよう、ございます……」

びくりと体を震わせて振り返った根性なし――桜井リサがおどおどと挨拶をしてくる。無言のままじとりとリサを見ていると、視線を泳がせたリサの顔が俯いていく。

「その……転校、したこと、ないから……不安で」
「ハッ、ここまでくるといっそ特技だな」

臆病で根性なしで心身ともに貧弱な馬鹿女――言葉にすると救いようがねェが、助けると決めたのは勝己だ。途中で放り出すのは主義に反する。

「とっとと行くぞ」
「ああぁまって、もうちょっとだけ」
「遅刻すンだろが! 来ねぇと置いてくぞ!」
「ま、まって……!」

慌てて追いかけてくる足音を聞きながら、勝己は大きな舌打ちをした。

雄英高校までの道のりは比較的穏やかであった。
リサは転校の手続きのために昨日来ていたようで、さすがに学校までの道のりは覚えていると少し自慢げだ。

「むしろ迷う方がどうかしてんだよ」
「…………き、昨日は、ちょっとだけ」
「一本道だろうが! 駅から見えてんじゃねえか!」
「け、携帯で調べて行ったんだよ! でも、入口が正門じゃなかったみたいで……」
「ハッ、ナビすら使えねぇのかてめェは」
「だ、だって! 知らないかもしれないけどっ、雄英って門が東も西も北もあるんだよ!」
「知っとるわ!! 何で通ってる俺が知らねぇと思ってんだよ!」

おそらく穏やかである。
学校の正門まであと百メートルほどという頃になって、後ろから勝己を呼ぶ声が聞こえてきた。

「おーい、爆豪ーー!」
「ウッソだろ! お前何で女子と登校してんだよ!」

同じクラスの切島鋭児郎と上鳴電気だ。切島は興味津々といった様子で、上鳴は信じられないという顔で勝己とリサとを交互に見ている。

「るッせェんだよ朝っぱらから! 放っとけや!」
「珍しいな、お前が女子と登校なんて。普通科の子? それともサポート科?」

切島に問いかけられてリサは面白いくらいに狼狽えている。終いには助けを求めて勝己に視線を向け、そろそろと勝己の背後に隠れてしまった。

「……え、俺爆豪より怖いと思われたの?」
「ハッ、ざまあ!」
「い、いえ、爆豪君の方が絶対コワ――いだっ!」
「てめェは黙ってろクソが」

振り返りざまに脳天に手刀を落とし、ついでに脅しもかけておく。痛む頭を押さえながらこくこくと頷いたリサはもう何も言わなかった。

「マジでどんな関係?」
「女子と登校……っ、羨ましすぎる……!」
「るせェな、放っとけっつってんだろうが。とっとと行きやがれ」

悔し涙を流す上鳴を引きずるようにして切島が「また後でなー!」と先を行く。舌打ちをすると背後のリサが小さな声で謝罪の言葉を紡いだ。

「あ?」
「あの……だって、その……友達、でしょう? 一緒に行ったほうが――」
「俺がアイツらと行ったら、てめェは一人で立ち止まらずに来れんのかよ」
「うぐ……」
「くだらねェこと言ってねーでとっとと行くぞ」

もう一度頭をベシンと叩いて歩き出す。背後に聞こえたごくごく小さな謝罪にもう一度舌打ち。
自分を助けるヒーローにまで謝ってんじゃねェよ。心の内で吐き捨てて、勝己はムスッとした顔で足を進めていった。

学校に到着し、上履きに履き替えた勝己はリサにどこに行くのか尋ねた。

「職員室に来るように、って」
「場所は?」
「マ、マップもらった!」

バッグから取り出した構内マップを神器のように掲げるリサ。

「そーかそーか。そんなら案内はいらねぇな」
「えっ、あ、」
「俺ァ遅刻する前に教室行くわ」

ひらりと手を振って教室の方へ歩き出すと、後ろから小さな声が「……はい」と返事をする。クソが。教えて欲しいならそう言え。助けてほしいなら助けを求めろ。助けてすら言えない奴に構ってられっかよ――そう思うのに、桜井リサとはそういう人間なのだとほんの十日間ちょっとで嫌と言うほど知っている。
舌打ちと共に振り返ると、こちらに背を向けてとぼとぼと歩き出すリサの頼りない後ろ姿がある。立ち止まってマップを見て。そうして進んだ先は職員室に続いていない道である。

「何でマップ見て違う方に歩いてくんだてめェ!!」
「ひっ! こ、こっちじゃ、ないの……?」

おそるおそる振り返ったリサへズンズン近寄ると、怯えた様子のリサが情けない悲鳴を上げながら頭を抑えて蹲る。

「かっちゃん!! な、何してるの!?」
「るせェ! 話しかけてくんなクソナード!」
「で、でも、その子泣きそうだし……」
「るッせェっつってんだよ!! オラ! とっとと行くぞ!!」
「は、はいいぃぃ……!」

慌てる幼馴染――認めたくはないが――に怒鳴り付け、涙を浮かべたリサの腕をぐいと掴んで引っ張り立たせると、職員室の方へ大股で歩き出す。小走りでついてくるリサが「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝罪を繰り返している。

「ゆ、雄英、広すぎるよぅ……」
「ハッ、てめェがクソなだけだわ」
「だ、だってっ、今まで迷ったことないしっ、」
「行動範囲が狭すぎるだけだろうが」
「んぐぐ……!」

悔しさに唸ったリサが一拍置いて勝己を呼ぶ。足を止めないままチラと振り返ると、へったくそな笑い方をしたリサが「あの、ありがとう」と感謝を紡ぐ。

「うっせーブス」
「ぼ、暴言!」
「悔しかったら、そのこびりついた隈どうにかしやがれ」
「さ、最近は、もうちょっと寝れるようになった!」
「どうせ本当に『ちょっと』なんだろうが。誤差なんだわ」
「んぐぅ……」

否定できずに唸るリサの手を放して職員室へ向かう。マップを見ながら後をついてくるリサが時折「あれ……」「え、」と呟くのを聞くに、どうやら禄に地図も見れないらしい。

「一体お前は何ができんだよ」
「ご、ごはんっ、自分でつくってるよっ」
「ヘー、ソウ」
「信じてない!」
「お前見てたら信憑性ゼロだわ」
「んぐぐ……!」

数分で職員室に辿り着くと、勝己は何も言わずにリサに背を向け元来た道を歩き出す。

「爆豪君っ、あ、あり、がとうっ」

感謝の言葉を背中に受けながら勝己は教室へと向かっていった。

教室のドアを開けると、教室中の視線が勝己へと集中する。ンだコラ。反射的にそう口にすると「爆豪!」上鳴が駆け寄ってきた。

「さっきの子、どこのクラスの子だよ! つーかどういう関係!? まさかカノ――ぶへぇっ」

皆まで聞かず横面を張り倒し、席へと向かう。窓際一番後ろに席が一つ増えていることに気付いた。そわそわ、わくわくといくつかの視線が興味津々に勝己に向けられ、いくつかの羨望と嫉妬の視線が絡みついてくる。

「なー、マジで付き合ってんの?」
「ンなワケねぇだろ」

瀬呂範太の問いかけに吐き捨てるように返せば、クラスメイトの芦戸三奈が「えー!?」とがっかりしたような声を出す。

「違うの!? すっごい仲良さそうにしてたって聞いたのに!」
「何組の子!? 同じ学年なんだよね!?」

葉隠透まで興奮した様子で食いついてくる。うぜぇ。吐き捨てて鞄から教科書類を取り出し机へ押し込むと、尚も食い下がろうとする上鳴の顔面を鷲掴んでやった。

「ひぃだだだだだ!」
「るッせェんだわ、さっきからよォ……! 黙らせてやろうか、あ?」
「すみませんっ!!」

手のひらの上でボンボンと小さな爆発を起こしながら問いかければ、即座に謝罪の言葉が返ってきた。床に放り捨てて椅子に座り直す。朝からムカつくことばっかりだ。

勝己から聞き出すことを諦めたクラスメイト達は、新たに一つ足された席に話題を変えて盛り上がっている。

ホームルームが始まり、相澤に促されて教室に入ってきたリサの姿にクラスメイト達が「あーーー!!」と声を上げるのは数分後の話である。

夢渡り05