「ごめん、失敗しちゃった……」
リサが部屋に戻ってから少しして食堂に入って来たサッチさん達に、苦笑しながら謝る。マルコさん、無表情怖いです!
「リサちゃん手強いなぁ。俺らが隠れてたのも気付いてたのかもな」
あぁ、それはあるかもしれない。
「ERROR、頬っぺ赤ェぞ」
「めっちゃ痛い。最近は怒られる事少なかったのに……うぅ……」
ヒリヒリ痛む頬っぺを摩りながら、黙ったままのマルコさんを見上げると、丁度目が合った。うぅ、怖いですおじちゃん。
「ERRORちゃんが『お父さんが欲しい』って言ってたら何て言ってたんだろうなぁ」
「うーん……どうかなぁ」
「取り敢えず、マルコはサッチと同レベルって事だよな」
あ、バカエース!!「ヤベッ!」てそんな今更……!もう遅いから!遅いから!!
「――へぇ、俺ァ、このリーゼント野郎と同じレベルかい」
いや、髪型で言ったら良い勝負だと思います、ホントに。その頭どうしてそうなってるのか気になるもん。うわっ、こっち見た!私何も考えてないです!ホントに!!無心です!
「ねぇ、マルコさん。ひとつ聞いても良い?」
「?」
「リサの何処が良いの?」
あ、マルコさん固まった。
「そりゃね、リサは美人だし優しいし(怒ると怖いけど)気配りも出来る方だと思うよ? けど、致命的な事が一つあるじゃん?」
「何だ?」
「アタシ」
自分を指してマルコさんを見上げると、片眉を上げてアタシを見下ろしていた。え、もしかして忘れてた?その表情からじゃ読み取れないんですけど!
「本気で言ってんのかい?」
「え?」
「何で『ERROR』が致命的になんだよい」
「だって、そういうものでしょ?」
フツーはそう思うでしょう?これから先リサに好きな人が出来たって、その人が好きになってくれたって、『アタシ』が障害になる可能性大アリなんだよ?
「勘違いしてるみてェだから言っとくが」
ガシッと頭を掴まれ(痛いです、マルコさん)上を向けない状態のアタシに、マルコさんの声が降ってきた。
「リサはお前を『致命的』だなんて思っちゃいねェし、そんな風に思う奴を好きになったりもしねェ。『ERROR』がいてこその『リサ』だろい」
「分かったら二度とくだらねェ事言うんじゃねぇ」って言うと同時に軽く頭を叩かれた。痛いです、マルコさん。顔を上げてそう言ってやりたかったのに、目の前がぼやけてきちゃったりするから出来なかった。チクショウ。
「マルコさんのバカ」
「あぁ?」
それって、『アタシ』がいる『リサ』を好きだって事でしょ?そんな事言われたら応援したくなるじゃん。リサがマルコさんを好きになってくれたら、とか思っちゃうじゃん。
「マルコさんのバカアァァァ!! 大好きだ! バカ!!」
「は!!?」
「ちょ、ERRORちゃん!?」
叫びながら食堂を飛び出して逃げるアタシの後ろでエースとサッチさんの焦った声が聞こえたけど無視して部屋まで駆け戻った。
「絶対くっつけてやる!」
あ、でもそうするとマルコさんがアタシの『お父さん』かぁ……うん、別に嫌じゃないかも。
食堂に残された三人の間に気まずい空気が流れた事をアタシは知らない。